大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡高等裁判所那覇支部 昭和50年(う)23号 決定 1975年3月07日

被告人 仲程清

主文

被告人に対する昭和四九年一〇月三一日付勾留状に基づく勾留を取消す。

理由

本件記録によれば、被告人は、別紙一記載の被疑事実により、昭和四九年一〇月三一日付那覇地方裁判所裁判官発付の勾留状に基づき勾留され、同年一一月六日勾留のまま別紙二記載の公訴事実について同裁判所に公訴が提起されたが、同月一五日保釈許可の裁判により釈放されたこと、同裁判所は、昭和五〇年二月四日被告人を懲役二年に処する旨の判決を言い渡したため、同日被告人は収監され、現在引続いて勾留中であることが明らかである。

ところで、麻薬の所持と譲渡とは、同一日時、場所において同一の麻薬について犯されたものであるとしても、併合罪と解するのが相当であり、したがつて、別紙一記載の事実と別紙二記載の事実との間には、いわゆる事実の同一性がないものといわなければならない。そうすると、被告人に対し別紙一記載の事実により勾留を継続した原審の措置は違法の疑いが強いので、被告人に対する勾留は、別紙二記載の本件公訴事実によるものに切替えるのが相当であると認め、主文のとおり決定する。

(裁判官 屋宜正一 大城光代 堀籠幸男)

別紙一

被告人は、法定の除外事由がないのに、昭和四九年九月二日午後三時三〇分頃、沖繩県沖繩市字胡屋一、三八〇番地スナツク喫茶「フオンテイーヌ」前階段附近において、仲西弘政に対し、麻薬である塩酸ジアセチルモルヒネを含有する薄茶色顆粒物約一二グラムを代価二〇万円にて密売し、もつて譲渡したものである。

別紙二

被告人は、法定の除外事由がないのに、昭和四九年九月二日ころの午後三時三〇分ころ、沖繩県沖繩市字胡屋一、三八〇番地スナツク喫茶フオンテイーヌにおいて、塩酸ジアセチルモルヒネを含有する顆粒状物質約一二グラムを所持していたものである。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例